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施術療養費支給申請書点検業務外部委託の現状と問題点
―その2 外部委託業者の権限等について―
S市職員共済組合理事長から療養費等請求者各位にあてられた平成21年4月10日付お知らせ文書
内容要旨:当共済組合へお送りいただいている施術療養費請求書につきまして、平成21年4月施術分のものから、点検業務を下記の会社へ委託しますので、下記委託先から照会等が届きましたら、ご回答のほどお願いします。なお、施術療養費請求書に記載される個人情報につきましては、漏洩がないよう厳重に管理した体制で扱うこととする契約を下記委託先と結んでおりますことを申し添えます。また、これまでは、毎月25日までの請求分を翌月10日に振込手続きをしておりましたが、施術者様及び組合員への照会等を新たに行うこととなるため、3ヶ月後の10日に振込となります(5月25日までの請求分→8月10日支払)。以上、ご理解とご協力を賜りたい。委託会社名 ㈱大正オーディット
平成21年4月15日付、総務省自治行政局公務員部福利課担当K氏に質問書提出
回答:平成21年4月30日に「柔道整復師の施術療養費請求書点検業務について」として、〝療養費の審査事務やレセプトの点検事務等は、基本的には共済組合の内部事務として行われるべきものではありますが、法令上、事務の外部委託を禁止する規定はなく、共済組合それぞれの事情により各種事務の外部委託が行われているものであり、法令違反ではありません。なお、S市職員共済組合は地方公務員等共済組合法に基づき短期給付を行っていることを申し添えます〟と回答があった。
※外部委託については、明確に法令違反ではないとし短期給付を行っているとしているが、寧ろこれまでは翌月に支払われていたものが3ヶ月後に支払うこととなり、また給付を遅延させる理由として施術者及び組合員への照会等を行うためとしている。
厚労省とのやり取りに関していえば、先のJB日本接骨師会取材で問題とされた患者受診抑制や、患者調査が増えた理由については全く触れられることなく、大雑把にいえば外部業者の越権行為が非合法ではないかとした問答に終始しており、不毛な戦いが繰り広げられているとも感じられる。
また、厚労省の回答には、丸投げしてはいけないことが示唆され、保険者にもその都度指導を行っているとされるが、保険組合及び外部委託業者の対応は真摯になされているかについて疑問がある。
近年、患者中心の医療と叫ばれるようになって久しいが、この問題はおおよそ患者中心の医療とは程遠いものである。何故なら、患者は保険者がレセプト点検業務を外部委託してコストの削減をはかることや療養費の支払の可否については預かり知らぬものであり、患者照会といった調査のみが実施されること自体、被害者といえるのではないかといった疑問もある。
今回のやり取りの中で他に考えられることは、委託業者或いは保険者のどちらかが、契約上口座振込みまで丸投げで業務委託しているか、していないかは当該保険者によって異なる場合もあり、又当該外部委託業者によっても異なるのではないか?つまり、契約内容に拠るところが大きいのではないか。しかもその点検・調査・照会・返戻・支払といった業務はどこまでが合法的なのかという問題は微妙というか巧妙にすり抜けられている。実際は民間企業が業務委託することでうまれた利益の半分を委託先企業に支払い、残りの半分を保険者が受け取るといった契約がかわされているという情報もあった。
最後に患者受診抑制につながる一連の患者照会行為及び「接骨院・整骨院へのかかり方」等のパンフレットの配布は患者の医療選択権を無視し、国民皆保険制度の根幹を否定するような問題を孕んでおり、このまま放置することは出来ないと思われる。
柔道整復側にも考えなければならないことは有る。どちらかが悪者で他方が正義の味方とはいえない。
「患者調査」「外部委託」「受診抑制」「良い医療の提供」「法律」「お互いの信頼関係」
こうした全ての事項のバランスのなかに業務が存在しているのだろうと感じる。どれか一つを取り上げて其処だけを改善することは難しいと感じた。
なおS氏は、現在、厚生労働省政務三役に対して、「外部委託行為は、合法なのか違法なのか」との質問をしていますが、何ら回答が来ていない状況とのことです。